大木市蔵式サシズ『月刊世界のソーセージ』hayariのソーセージ頒布会 その12

大木市蔵式サシズ『月刊世界のソーセージ』hayariのソーセージ頒布会 その12

食文化スタッフの井上です!
世界のソーセージレストラン・ハヤリさんとの共同企画、『月刊世界のソーセージ』。
第1回目は古代ローマ時代の『ルカニカエ』、2回目は中国の魏晋南北朝時代(6世紀)の「胡炮肉(ウーパオロウ)」、3回目は中世2~7世紀のスコットランド「ハギス」、4回目はアイスランドの「リブラルピールサ」、5回目はフランスの「アンドゥイエット」、6回目は、トルコ(オスマン帝国)の「チェヴァプチチ」、第7回はポルトガルの「リングイッサ」、第8回目はスペインの「チョリソ フレスコ」、第9回目はアルゼンチンの「チョリソ アルヘンティナ」、10回目は近代フランス・アメリカのソーセージ「トゥールーズソーセージ」、11回目は、ドイツの「ニュルンベルガー」、そしてついに最後になってしまいました。
日本のソーセージ「大木市蔵式サシズ」です。

全12回のパンフレットです。
1回がA4で4ページ、12回で48なります。これにレシピが12枚で合計60ページ。
写真と文章を少し足せば、本になりそうですね。いや、本当になるんじゃないかな?
出版社の方ご覧になってたら、ハヤリさんまで是非ご連絡を。

時は19世紀の後半。徳川幕府が倒れ日本は開国し、西洋の文化が雪崩のように入ってきた時代に、ソーセージの作り方も日本に伝わります。
その頃は「サシズ」と呼ばれていました。
上流階級や外国人を中心にソーセージは少しづつ広まっていきます。
そして、戦後になると魚肉ソーセージが登場し人気を博し、その人気により本家のソーセージの認知度も上がり、ついにはソーセージが日本の家庭に欠かせないものになっていきます。

ひょえーーー、魚肉ソーセージ。ドイツ人が聞いたらどう思うんでしょう。
まぁでも元々は「タンパク質の保存」が目的だったソーセージ、魚肉を詰めてしまうのも日本らしいと言えば日本らしいですね。

その黎明期にソーセージ作りをしていたのが大木市蔵。
横浜にいたドイツソーセージの名人「マーテン・ヘルツ」氏に製法を習ったとのことです。

大木市蔵式サシズ(ソーセージ)の原料はこちら。

豚肉を使ったシンプルなドイツのソーセージです。
スパイスも少ないですね。基本に忠実だったのだと思います。

このソーセージはヴァイスブルストのように細引きです。
今、日本のソーセージの売れ筋って、パリッジュワッみたいな荒引きが人気のようです。
荒引きの方が食感がよく、肉汁が溢れるのがいかにも肉料理といった感じで確かにおいしい。
しかし、私、ハヤリさんのソーセージを定期的に食べるようになって、段々と細引きのソーセージをおいしいと感じるようになってきました。
繰り返し食べるには細引きが良いという事なのでしょうか。
ソーセージの持ち味は細引きにあると思ってます。
鮪のおいしさが赤身にあるように。

さて、この細引きソーセージを、饅頭に挟んで食べるというレシピ。

はっっこれは、ホットドック?ハンバーガー?的なやつや!
少し甘めの味噌味の饅頭。挟むと、味噌ソースのホットドックみたいな感じになるのだと思う。

当時、こういう食べ方をした人はいたのでしょうか?
ソーセージが伝わったのであれば、当然パンで挟む食べ方も伝わったでしょう。
パンが無い時に、饅頭に挟もうとした人がいたのかもしれない。

パンがあって、ソーセージがあったら、そこにザワークラウトとかピクルス的なものを挟みたくなるもの。

そこで

糠漬けを、それも底の方に残っていた古漬けを引っ張りだしてみました。

そう、日本風のピクルスは当時であれば当然糠漬けでしょう。
でも果たして合うのか。感覚的に合うと思う。

ソーセージは縦半分に切って、饅頭は2つに切り分けてからハンバーグのバンズ状に切ってそこにソーセージを挟み、糠漬けを適当にスライスして挟んで、いざ口の中に。

「おいしいー!」

古漬けの酸味と、味噌の甘さと、ソーセージのしょっぱさが合う合う。
日本のものを使ってもあんまり和風に感じず、ドイツソーセージの味でした。
いや、ひょっとするとこれは日本の味で、ドイツ人に言わせたら「こりゃ和風のソーセージだ」と言うのかもしれない。

歴史を旅してきたソーセージ。
羊に出会うと羊を包み込み、スパイスに出会うとスパイスを取り込んできました。
メキシコに行ったときにチョリソメヒカーナになったり、タイに行ったらタイカレー味のサイウアになったりします。
まさか日本に行ってタコ型に切られてタコさんウインナーなんて呼ばれるとは、さすがに思ってなかったでしょう。

時代と世界を旅したソーセージ。
中国のラーメンが日本で日式ラーメンへ進化したように、日本のソーセージが和食の1つになるのかもしれません。

⇒ ソーセージ研究家村上さんの作る世界のソーセージ

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